体を温め、血行を良くすることから、冷え性に効果的と言われてきた生姜。冬の時期になると、生姜を使った食品が数多く出回ります。
けれども実は、生の生姜は体を温めるどころか、冷やしてしまうことがあるのです。
それは、生姜に含まれる辛味成分の1つ「ジンゲロール」が原因です。この成分を摂取すると、手足や体の中がポカポカする感覚に陥るのですが、実際には、体の深部の熱を外側に送っているだけなのです。
体を冷やす生姜の成分「ジンゲロール」
ジンゲロールは、唐辛子に含まれるカプサイシンと呼ばれる辛味成分と同じように、血管を拡張させる作用があります。特に手足の先にある抹消血管と呼ばれる細い血管が拡張されることで、血液が手足の先まで循環できるようになるため、全身に熱が行きわたり、発汗作用が促進されます。
簡単に言えば、
ということです。ところが、血管が拡張したままでいると、体の外側に熱をどんどん放出することになります。また、体の表面に排出された汗が気化する際に体の熱を奪ってしまうため、しばらくすると逆に体が冷えてきます。
風邪などで発熱している場合には、余分な熱を放出してくれるため、風邪の諸症状を改善するには良い成分ですが、冷え性の人にとっては、改善も一時的な効果でしかなく、有効とは言えません。
さらに、生姜はカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、「吸熱反応」と言って、水に溶ける際に熱を周囲から熱を奪う作用がありますので、体を冷やす作用のある陰性食品に分類されます。
体を冷やさない「冷え」に効果的な食べ方
冷えを改善する目的で生姜を食べる時は、温めた生姜を温かいうちに食べるか、乾燥生姜を使うことをおすすめします。
生の生姜に対して、加熱処理した生姜や乾燥生姜は、ジンゲロールの一部がショウガオールという物質に変化します。
ショウガオールは、炭水化物を分解してエネルギーに変え「代謝」を促しますので、脂肪やでんぷんなどの貯蔵物質の燃焼を助けます。すると、これによって体の中で熱が発生しますので、発汗やカリウムの影響によって冷えてくる体に、再び熱を供給してくれます。